2016年夏、フマキラーから、新しい人体用虫よけ剤が誕生しました。 有効成分ディートを30%配合した「医薬品スキンベープ プレミアム」「医薬品スキンベープミスト プレミアム」と、有効成分イカリジンを15%配合した「天使のスキンベープ プレミアム」「天使のスキンベープミスト プレミアム」です。 従来品よりも高濃度に有効成分を含む虫よけ剤の日本国内での発売は、「ひとの命を守る」という経営理念に基づき、長年に渡って世界中で危険な害虫と戦い続けてきたフマキラーの悲願でもありました。
世界では、マラリアやデング熱、西ナイル熱等の蚊が媒介する感染症が、毎年約70万人もの人々の命を奪っています。 南米を中心に猛威を振るうジカ熱により、リオデジャネイロオリンピックの開催が危ぶまれたことは記憶に新しいところです。 感染症の拡大を防ぐために重要なのは「蚊に刺されないこと」です。 しかし、一口に蚊と言っても、例えばインドネシアやブラジル等に生息する蚊は、日本の蚊の数十倍も薬剤抵抗性が強いことが分かっています。 そこでフマキラーは、海外の研究開発拠点で、現地の強力な蚊を徹底研究し、これを駆除する蚊取り線香を新開発するなど、殺虫剤の効力を徹底的に高め、人々を感染症から守る活動を続けてきました。
そんな感染症被害も、日本にとっては対岸の火事である。 多くの人がそう信じていた2014年8月、蚊が媒介するデング熱の脅威が、約70年ぶりに日本に襲いかかったのです。 国内の感染者は150人を超え、日本中で不安が大きく高まりました。 これ以降、生活を快適にする道具だった殺虫剤は、命を守る必需品へと大きく役目を変えることとなりました。 そこでフマキラーは、これまでの常識に捉われることなく、効力を徹底的に高めた商品開発を推進。 人々にいちはやく確かな安心をお届けすると同時に、これまでの活動で蓄積した感染症に関する正しい情報の啓発活動を行うなど、被害を食い止めるための活動を迅速に展開していきました。
蚊による被害を防ぐために、直接肌に吹きかける人体用虫よけ剤は有効な手段のひとつです。 しかしながら、従来日本で販売されていた人体用虫よけ剤では、有効成分ディートは医薬品で12%、防除用医薬部外品では10%以下、2015年に国内で認可されたばかりの新有効成分イカリジンは防除用医薬部外品で5%の濃度しか承認されていませんでした。 一方、海外では、さらに高濃度な有効成分を配合し、さらに長時間効果を発揮する製品が発売されています。 「このままでは感染症から日本を守れない」。危機感を募らせたフマキラーは、より強力で安全な人体用虫よけ剤の販売の可能性を、あらゆる方向から模索していました。
同様に、国民生活の危機として強い警戒感を抱いていたのが、日本の厚生労働省でした。 厚生労働省は、人命に関わる重大な局面にあるとして、日本家庭用殺虫剤工業会を通じ、より高効力な殺虫剤の開発に早急に取り組むよう各メーカーに積極的に働きかけるとともに、人体用虫よけ剤についてはディート濃度を30%、イカリジン濃度を15%まで高めた製品を承認する方針を決定。 さらに、高濃度製品の早期販売を後押しするため、承認審査を迅速化するとの通知を行ったのです。 この厚生労働省の一連の行動は、感染症から日本国民を守るという国家の責務を明確に示したものと言えました。
これに応える形で、フマキラーはいちはやく承認申請を提出。高濃度製品を1日でも早く市場に投入するべく全力で開発に取り組んだ結果、早期承認を取得し、蚊の発生シーズン中の発売に漕ぎ付けました。 この異例とも言えるスピード発売は、日本国民の重大な危機に対し、国と民間企業がお互いの力を合わせ、本気で立ち向かったからこそ実現したものと言えます。 私たちフマキラーは、厚生労働省のこのたびの英断に敬意を表すとともに、今後も独自の技術力とノウハウをさらに磨きあげ、より多くの人のために、より広く社会のために役立つ製品づくりを通じて、感染症との戦いを世界中で続けてまいります。